吉田
「海苔網との遭遇」の後、海苔養殖者の方のご協力で漁港からとりあえず花火屋倉庫へ運ぶことになりました。一色から西尾まで数十分。僕たちは道中で街のみなさんに素敵な香りをお届けすることになったわけです。あのとき出会えたみなさん、ごめんなさい。
倉庫に到着。海苔網を荷台から引き摺り下ろします。
「ずるずるずる、べちょ」
網とは思えない音がします。もう慣れましたが。
倉庫まで運んでいただいた海苔養殖者の方にお礼を言った後、僕らと一風変わった海苔網が残りました。
その数およそ150枚。海苔網を調査する目的でいただいたものです。
そこでとりあえず、「腐らせてきれいに海苔をとって再使用する」というプロセスを体験しようということになりました。
作業としては、
@よく日が当たるように海苔網を広げて配置
A熱を逃がさないようにシートをかぶせる
Bシートが飛ばないように押さえる
Cあいかわらず臭い
といったところです。
海苔網から数mの距離を置くとあまり匂わないのですが、2mくらいあたりから近づいていくと急激にトリップしそうなくらい匂います。
腐らせるというプロセスは数時間ほどで終わってしまうようなものではないので、作業を終えた後しばらく放置しようということになりました。
というよりこれ以上ここにいるのは危険な気がしたということもあります。その日は青々とした海苔網に別れを告げ、事務所に戻りました。
そして一週間後、倉庫へ来てシートをとるとそこにはとんでもないものが!
なんと巨大なアメフラシがそこに誕生していました。
「海苔網にシートをかぶせて一週間放置すると巨大なアメフラシが生まれる」
なんだか自然の摂理やら色んなものを無視している気がしますが、できちゃったものはしょうがないですよね。
ダーウィンもびっくりです。これはもう論文を書くしかない!
と思ったら、巨大アメフラシの正体は腐りだして紫色に変色した海苔網でした。
海苔網はいっそうどろどろになり、いくつもの海苔網が結合しているように見えたことが原因でした。
海苔は腐る過程で色が緑→赤紫→黄色っぽい白と変色していきます。
このプロセスは通常一週間程度で終わるはずなのですが、この時は天候が微妙で気温があまり上がらず、早く終わらせたい腐らせる課程が長くなっていました。
倉庫敷地内には危険な香りが充満し、その傍らでは見たことのないモノが横たわっている。
4月の夕暮れ、僕たちは途方に暮れていました。
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