ダンサー・イン・ザ・ソーコ

吉田

 

前回の後、再び魔の巣窟(倉庫)を訪れるとあたりは一面緑に覆われていました。

乾いた海苔網で。

垂れ下がり具合がまるで柳の木のようでした。夜ならきっとお化けが出るに違いありません。お化けと言っても巨大アメフラシですけど。

 とりあえず、海苔網についている海苔を乾燥させることは成功しました。
今までの取り組みがやっと報われるときが来たのです。
ドラマだったら画面がやたらとキラキラして、海苔網片手にみんなで手をつないで走り回るというようなシーンになったはずです。

「アハハハ。ほらこんなに海苔が乾いてる・・・って乾いてるけどまだ海苔ついてるじゃん!」

当たり前ですね。テンションは頂点からどん底へ。まるで昼ドラ並みの波乱万丈っぷりです。

「乾いた海苔をどうやって取るか」
少し考えてみました。
「時間がない。早く網をきれいにしないと。」

実は、地元でたまたま予定されていたお祭りで試験的に販売するつもりだったのです。
祭りで海苔網?と思われる方もみえるかもしれませんが、参加予定のお祭りの客層は年配の方と子供メインで、農業従事者とまでは行かなくとも家庭菜園をつくっている方が多く、需要が見込めそうだったためです。
ただ、お祭りはもうすぐです。ちょっとあせりました。

そのとき、あたり一面がまぶしく輝くほどにひらめきました。

「踏めばいいじゃん。」

投げやりというか、革新的というか。とにかくやってみると、めちゃくちゃ取れる。
アスファルトの上で海苔網をこするように踏むと、緑色だった海苔網が本来の白へと変わっていきます。

それからは、ひたすら海苔網を踏む。かなりの激しさです。
海苔網から海苔が簡単にとれる方法が見つかったこともあり、気持ちが高ぶっていたのか、「踏んで海苔をとる」という方法から、「踊りながら海苔をとる」というふうに変わっていました。

「ツイストしながら踏む」

海苔が凄まじい勢いで取れていくと同時に海苔が取れる喜びを表現できる。なんて素晴らしい方法なんでしょうか。60年代の情熱が今ここで甦ったのです。きれいになった海苔網がどんどん増えていきます。1枚、2枚、3枚・・・・12枚・・13枚・・・じゅ、じゅうきゅうまい・・はぁ。
とても素晴らしいように思えた「ツイストしながら踏む」という方法には欠点がありました。

非常に疲れる。

そう、疲れたのです。それでもなんとかお祭りで売る分はきれいにできました。
お祭りでどういう反応があるだろうか。残り100枚以上の海苔がついた網はどうやってきれいにすればよいのか。
また、悩みの種が増えてしまいました。いろんなことを考えているうちにふと思いました。

今まで海苔網よりもにおいと戦ってきたのではないか、と。




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